自分の財産を信頼できる家族に託す「家族信託」

家族信託とは、財産を持っている人が認知症などで判断能力が低下した場合に「自分の財産を信頼できる家族に託す」ことです。

 

「信託」託すという言葉は、財産の管理や運用を人に任せるという意味があります。信託の歴史は古く、中世期のヨーロッパの十字軍の遠征にまでさかのぼるという説もあります(遠征した騎士が、敵地で奪った戦利品を家族のために、運用の上手い人物に託していた)。 

家族信託は、(正式な名称ではありません。「個人信託」とか言いう場合もあります)信託銀行などが行う商事信託とは別に、信託法という法律が改正されたことを機に、生まれた制度です。

 

「家族信託」の役割

家族信託は、信託銀行や裁判所の関与を必要とせず、家族間で自由に相続財産を決めることができます。

家族の中から、財産の管理・運用・処分等をする人(受託者)と利益を得る人(受益者)を決めます。

・財産を持っていて誰かに運用してほしい人=委託者

・財産の管理・運用、処分などの権限を託された人=受託者

・財産からの収益を得る人=受益者

 

例えば、マンションの大家でもある太郎さん(85歳)が、自身の将来の健康を考え息子である太一さん(45歳)にマンションの管理処分を委託します。これにより、太郎さんは体調不良等でマンション経営ができなくなっても、太一さんが代わりにマンション経営を行い、その利益を太郎さんが受け取ることができます。

信託するのは、マンションだけとは限りません。自身の「預貯金」・「自宅」や他府県にある実家の土地などいろいろな場合があります。

 

上記の例で行けば、委託者である太郎さんが、家族の太一さんを受託者にして不動産と金銭を信託するとなれば、信託後は太郎さんの同意がなくても財産の管理・運用・処分を行うことができます。

一方、不動産から発生する賃料収入な売却益などの受益者を太郎さんにしておけば、太郎さんが生活する費用に充てることができるのです。

このように、家族信託は家族が受託者となって、家族ごとの事情を汲んだ自由な設計で信託契約を結ぶことができます。

「何のために信託をするのか」と目的を明確にする為に

重要なことは、目的に応じて「どのような信託を、何のためにするのか」と信託する内容を決めておくことです。

 

家族信託は、従来の「遺言書」や「後見制度」では叶わなかった財産の承継や財産管理ができるようになります。

また現金だけでなく、不動産や土地、株式、不動産など財産にはいろいろありますから、仮に預貯金が少ないから「家族信託」なんて関係ないとは言えないのです。

 

財産で見落としがちなのは、自宅です。賃貸マンションや借家と違い、自宅は土地と建物を所有しています。その所有者が急逝したり、認知症になってしまったら、相続として土地や建物を残せるかどうかというリスクが一気に高まります。

 

つまり、預貯金や収益目的の不動産を持っていなくても、相続・遺言や家族信託を知っておく意味があるのです。

あくまで家族信託は目的ではありません。ご自身の人生をより豊かにする手段です。そのために、目的が明確になっている方にとっては、相続対策としての家族信託が有効です。

 

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